鳥山明作品のNo.1は「ドラゴンボール」
もうこれはランキングするまでも無い事実の話ですよね。今でも大人気なので、知らない人はいない歴史的名作に違いはありません。
ですが、鳥山明を「ドラゴンボールの人」で終わらせていませんか?
もしそうだとしたら勿体無い。鳥山明は短編作品にも強く、世間的には認知されていない名作も多く描いています。これ、鳥山ファンでは常識なのですが、知らない人は損をしてます。
そこで今回は、鳥山作品を順位付けレビューしてみました。まだ読んでいない作品がある方ほど、参考になるようにお伝えします。
鳥山明作品をランキングしてみた
貯金戦士キャッシュマン
実は面白いと思えるポイントが少ないキャッシュマン。鳥山作品の中でも淡々としすぎていて、「キャッシュマン最高!」というファンはごく少数だと思う。というか、間違いない。(鳥山先生ゴメンナサイ...)
ストーリーは、宇宙刑事ジオラが、犯罪者を追って地球に不時着。だが宇宙船は故障してしまい、直すには地球でいう「金(ゴールド)」が必要になる。直す資金を集めるために、人助けの見返りにお金を要求するという話。
困っている人を見つけては、「お金をくれたら助けてあげます」というスタイルは鳥山先生の描く小さな笑いを含んだキャラっぽくて面白い。ただし、話の展開的には広がりにくく、コミカルな雰囲気が楽しめないと飽きてしまう。
後から知ったのだけど、鳥山先生が子供と見ていたヒーロー番組を参考にして描いたとのこと。確かに姿は鳥山作品の中でも、ヒーロー風なので納得。変身とかしてるし(笑)

カジカ
少年カジカが「狐の呪いで弱い」という設定から始まるのだけど、この呪いを解くための旅をする。生き物を1000匹助けると呪いは解除され、本来の強さが戻ってくる。
絵はどう描かせても上手いのは周知の事実。なので、ありきたりかなと思うストーリーでも読者をしっかり惹きつけている。評価はまあまあなのに、不思議と退屈させない力を感じた。
面白さのポイントとしては、「竜の話」や、「万能薬」といった伏線要素がしっかりしていること。これらがあることで、物語の立ち上がりから終盤に向かってブレずに突き進む。
サブキャラも良く、個人的に好きになったのはドンコ。足が早く逃げることが得意でずる賢い。こういうキャラを据えるだけで、読者は「何だこいつ!?」という目を向けるため、さすが鳥山先生かなと(笑)

鳥山明○作劇場1~3
鳥山作品の短編集として1~3巻まである。70~80年代に描かれた作品が大半で、Dr.スランプやドラゴンボールの元となっている作品も掲載。ファンなら一度見ておきたいところ。
おすすめを挙げるなら2巻の「ドラゴンボーイ」と「トンプー大冒険」。悟空とブルマの出会いの原型とも言える作品で、この路線を大事にしてのドラゴンボール誕生だと思うと感動。
1巻だとチョビット。宇宙人の小人女子と、警察官のコメディとなっている。お色気として、コップで入浴するシーンを入れているあたりは、鳥山先生らしさが出ている。今はこういうのだめなんじゃないかな(笑)
3巻はキャッシュマンやアックマンが登場。ここに来ると近代的な鳥山先生のタッチで、ほぼ古臭さを感じさせない仕上がりを見れる。とは言え、鳥山先生の絵は古い作品でもそう思わせないから良いんだよね。

COWA!
まるで絵本を読んだような読後感。鳥山明の世界観を絵本にするならこういう作品になるのだろう。おばけ風邪で倒れた仲間を助けるため、おばけと人間が協力して薬を探す旅に出る。うん、ストーリーも上出来。
絵のタッチも柔らかく、主人公のパイフーを始めとしたキャラクターが可愛らしいのも良い。鳥山先生が描いているにも関わらず、違う作家さんが描いた印象も受けるのが不思議。
ただドラゴンボール的なガチバトルを鳥山明に求めている読者には物足りなさもある。リアルタイムで読んだが、当時は「もっと激しいバトルをやってくれ」と、子供ながらに思ったので(汗)
コメディ要素も散りばめてあるので、節目でくすっと笑えるポイントも。初めて漫画を読む子供や、荒んだ心で日々を過ごしているサラリーマンまで幅広く読んで欲しい。

銀河パトロール ジャコ
正直に話すと、メインよりも「ドラゴンボールの番外エピソード」が読みたかった(笑)しかし、そんな思いもあっさり裏切られる。このジャコという主人公がなかなか面白い。
宇宙字なんだけど人間臭さ全開で、自称エリートなんだけど実際はドジだったり。決めポーズなんかも変だけど、本人はカッコよく決めていたり。憎めないキャラで、鳥山作品らしさを見せてくれる。
ドラゴンボールはおまけと言いつつ、作中内でカプセルコーポレーションとの繋がりが垣間見れたりと、DBとのリンクぶりがファンには嬉しい。ドラゴンボール0巻的な位置付け。
老人男性・大盛の過去は辛い話なのに、鳥山テイストにかかれば辛さから希望を見出してくれる。悲しい話から、前向きな話に向けるバランスの取り方が絶妙だった。そして笑えるw

SAND LAND
鳥山明に求めているものが全て詰まった1冊だと思っている。立ち上がりは、水源がどうやら国王軍に管理されていて国は水不足のようだ・・から始まる。
それじゃあ幻の泉を探し出して、みんなで水に困らない生活を目指そうという出だし。この段階で「あ、この漫画は当たりだな」と確信。なぜなら、鳥山明が冒険心をくすぐって来るのだから退屈になるわけがない。
悪魔の王子であるベルゼブブのキャラが良い。悪魔だけど性格は優しく、純粋に水を手に入れたいという思いから人間である保安官ラオに力を貸してくれるところとか。
強敵が現れたらしっかりと戦いつつ、程よいバランスで戦闘を楽しむように描かれていたり。人間離れしたアクションシーンを、ド派手に演出する場面もあるが、これぞ鳥山ワールドだ。

ドラゴンボール
言わずと知れた名作。ぶっちゃけ鳥山明ファンというか、ドラゴンボールファンだからこのレビューを書いているほど。逆に鳥山作品をランキング付けして、DBが1位じゃないって天の邪鬼すぎない?(汗)
僕は小学生時代がまさに絶頂期。悟空が強いヤツと戦うという、少年漫画の王道ぶりに魅せられた。画力なんて、今の漫画と比較しても十分通用する。スピーディーで力強いバトルシーンは、めちゃカッコいい。
そして、なぜこんなに面白いのかというと、恐怖と絶望が抜群のハーモニーを奏でるから。次から次にライバルが出てくるが、今度は勝てないかも・・という不穏な空気や絶望感を演出するのだけどこれが上手い。
いや、最後は勝つと予想できるけど、圧倒的な敵キャラの強さを前に「もうだめだ」と思わされるのだ。ピンチ脱出の際には、超サイヤ人を始めとした変身ストーリーに入るとか。これは痺れざるを得ない。
